雪国・十日町から ちからのブログ

豪雪地に暮らす思いとその自然について綴ります

ミンミンゼミ、楷の木

 猛暑が続いています。8月に入ってから全く雨が降っていません。土はカラカラに乾ききっています。それでも季節は確実に進んでいるようです。

 夜には虫の声がするようになりました。アブラゼミは盛んに鳴いていますが、ミンミンゼミの鳴き声も大きくなりました。

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 これは外の階段に落ちていたアブラゼミの亡骸です。必ず毎年何匹か、アブラゼミは我が家の階段で息絶えます。アブラゼミは時々、網戸に止まり、近くで鳴き声を聞かせてくれます。

 今年の夏、私が初めてミンミンゼミの声を聞いたのは8月2日のことでした。ミンミンゼミが鳴くようになり、そしてツクツクボウシの鳴き声が聞こえるようになると、夏も終わりに近づきます。

 それにしてもミンミンゼミの鳴き声は耳に残ります。鳴き止んでもしばらくは鳴き声が聞こえるような感じがします。

 ミンミンゼミというと思いだすのが、東京の湯島聖堂内の斯文会館(しぶんかいかん)で行われる漢文の研修会に参加していた時に聞いた、ミンミンゼミの鳴き声です。漢文という古めかしい学問(こういうと叱られてしまいます)の講義とミンミンゼミの鳴き声は、不思議とマッチします。ミンミンゼミの鳴き声は、私を古の漢文の世界に誘(いざな)ってくれるようでした。悠久なる時の流れの中にいる「私」を実感させてくれました。

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 これは楷の木の葉です。湯島聖堂の大成殿に入る時に通る、杏壇門の右脇にある大きな楷の木の葉です。といっても楷の木の枝を折って採ってきたものではありません。(そんなことをしたら叱られてしまいます。)楷の木は根元にたくさん蘖(ひこばえ)が生えていて、そこからちょっとだけいただいてきたものです。日記に挟んで大切にし、自分の怠惰に対する戒めとしています。

 楷の木は、山東省曲阜の孔子墓所「孔林」に弟子の子貢が植えたと伝えられ、枝や葉が整然としているので、書道でいう楷書の語源となった木です。日本には自生していない木で、大正4年に白澤保美という方が曲阜から種を持ち帰り植えたのが初めのようです。

 暑さに負ずに頑張らなければ、と思います。