昨日まで3日間風が強く吹き、植えたばかりの茄子やキュウリの苗が被害を受けてしまいました。がっかりです。また苗を買って植え替えるしかありません。
昨夜から今朝にかけて、久しぶりに雨が降りました。雨が上がるのを待ち、午後になって山に行ってみました。
藤の花が咲いていました。
これは道ばたに咲いていた藤ですが、山では木に絡まって咲いているのをよく見かけます。
『徒然草』の第19段「折節の移りかはるこそ」には、
山吹きのきよげに、藤のおぼつかなきさましたる、すべて、思ひ捨てがたきこと多し。
とあります。「藤のおぼつかなきさましたる」を、「暮春のたそがれ時に咲いている藤の花の、たよりなげな様子をいった」と解説している本(新潮日本古典集成)もありますが、私はこのように木に絡まっている様子を、「おぼつかなきさましたる」と兼好は言ったのではないかと思います。
タニウツギもきれいに咲いていました。
蕾のタニウツギもきれいです。
タニウツギは田植えの時期に咲くので、「田植え花」とも呼ばれるようです。ここ十日町では「カジバナ」と呼ばれ、持ち帰ったり植えたりすると、家が火事になると言われ、こんなにきれいな花なのに家に持ち帰ることはありません。一説には花が燃えるように美しく、花の時期には辺り一面が山火事になったように見えることから、「カジバナ」と呼ばれるようになったとのことです。
シロバナタニウツギも咲いていました。
赤と白のタニウツギが、並んで咲いていました。
ウツギ(空木)は、「空ろ木」(木が空洞になっている)から、そう呼ばれることになったようですが、タニウツギ(谷空木)の木は空洞ではなく、髄が詰まっています。
シロバナタニウツギも髄が詰まっています。
それなのにタニウツギが「ウツギ」と呼ばれるのは、ウツギとタニウツギの花が似ているからのようです。ウツギはアジサイ科(旧分類ユキノシタ科)ウツギ属で、タニウツギはスイカズラ科タニウツギ属です。
うつろ(空ろ)・・・中がからなこと。
うつけ(空け)・・・ぼんやりとした人物や暗愚な人物。
うつせみ(空蝉)・・せみのぬけがら。
では「うつつ」は、この世の空しさからできた言葉かというと、そうではありません。形容詞「うつし(現し)」の語幹「うつ」を重ねた「うつうつ」の約。
うつつ(現) ・・・この世に現実に存在すること。夢に対して目覚めている確か
な現実。正気。本心。
「うつつを抜かす」はある事に心を奪われることという意味になります。